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【 日時 】 | 2025年10月月9日(木)~10月12日(日) |
【 時間 】 | AM10:00~PM19:00/最終日12日PM17:00迄 |
【 会場 】 | やなぎだ中込店 季心ホール2F |
【 TEL 】 | 0267-63-5291 |
どなた様でもご覧いただけます。お気軽にお越しくださいませ。
更に詳しい内容をご希望の方は資料請求ボタンよりお申込み下さいませ。
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秋の彩りが深まる季節、伝統の着物を楽しむひとときをご一緒に過ごしませんか。
職人の技が光る逸品とともに、心豊かな時間をお届けいたします。
今回は「自然布コレクション」と題し、全国各地より選りすぐりの自然布を展示いたします。
他ではなかなかご覧いただけない、貴重な織物の世界をどうぞご堪能くださいませ。
更に、秋を彩るきものやお買い得な逸品を多数展示いたします。この機会にぜひお立ち寄りくださいませ。皆様の御来会を心よりお待ちしております。
六千年の時を超え、今なお人々の心を揺さぶり続ける自然布
古代より、衣服や暮らしを支えてきたのは、葛や麻、さらには榀(しな)の木といった植物でした。人は自然の恵みを受け、繊維を採り、皮を剥ぎ、糸を紡ぎ、丹念に織り上げて布としました。こうして、すべての工程を手仕事によって成し遂げたものこそ、「自然布」と呼ばれる布なのです。
葛布(くずふ)は、身近に自生する葛の蔓から採取した繊維を用い、一本一本を丹念に糸へと紡ぎ、織り上げられる日本古来の自然布です。
その歴史は縄文時代にまで遡り、糸作りから織り上げに至るまでのすべての工程が手作業によって行われます。気の遠くなるほどの時間と労力を惜し魅力みなく注ぎ込むことで生まれる、希少性と生命力が息づいています。素朴でありながらも野趣あふれる風合いは、使うほどに味わいを深めます。
上布とは麻の中でも細い麻糸(大麻)と苧麻を使用し織り上げた上質な薄手の布のことを言います。麻織物の最高峰として名高い 越後上布(えちごじょうふ) は、古来よりその品質の高さで広く知られています。優れた吸水性と通気性を備え、極めて薄く織り上げられることで、肌に心地よいさらりとした着用感をもたらします。また、越後上布は国の重要無形文化財、ユネスコ世界無形文化遺産に登録されています
しな布は、日本でもっとも古い織物のひとつといわれ、「原始布」「古代布」とも呼ばれています。原料となるのは、シナノキやオオバボダイジュの木の皮。そこから糸を績み、布に織り上げます。木綿や絹が広まるより前の時代、人々は山野に自生する麻やしななどの天然繊維を使い、生活に必要な布を作っていました。その製作は今もすべて手作業。木の皮を剥ぐ工程から始まり、織り上げるまでにおよそ1年もの時間を要します。かつては日本各地で織られていたしな布ですが、現在では山形県と新潟県でのみ織り継がれています。
自然布は、草の茎の皮や、木の皮から採った靱皮(じんぴ)繊維を用いた布を指します。(自然布の糸は、緯糸のみに用いる場合と、経糸・緯糸共に用いる場合があります。)日本の自然布の種類には、更に藤布、楮(こうぞ)布、太布、紙布、芭蕉布、鳳梨布(パイナップル)などがあります。
葛布はマメ科の植物「葛」から作られる自然布の一つで、自然素材の中では群を抜く透明感があると共に、その歴史の古さから、芭蕉布、科布(しなふ)と共に日本三大原始布とも呼ばれています。産地では最近まで「かっぷ」とよんでいました。また、「くずぬの」という言い方もありますが、より多くの人に知ってもらうため、「くずふ」の読みに統一しています。
毎年、梅雨が終わる頃になると、糸作りが始まります。200g(帯一本分)ほどの繊維をとるには、10kg以上の生葛が必要で、他の自然布と同様に途方もない時間をかけて糸が作られます。
①なるべく太めの葛の蔓(つる)を刈り取り余計な葉を落とし、リース状に丸め真水で煮沸します。
②ススキなどの色素の出にくい草を敷き、その上に煮沸した葛を並べます。更にススキをかぶせシートで覆います。これを室(むろ)入れといいます。ススキには、枯草菌が含まれ葛の発酵を促す効果があるとされています。時期によって異なりますが、4,5日ほど寝かせ、頃合いを見て室から出します。
③川の水で洗い、灰汁や余分な皮を丁寧に取り除きます。このとき水質はとても重要で、澄んだきれいな水でなければ光沢を失い、美しい葛糸には仕上がりません。
➃洗い上げた葛を草の上に広げ、天日で乾燥させます。太陽と草の力を受け、葛はやがて白くよみがえります。このようにして得られる白く乾いた繊維を「葛苧(くずお)」と呼びます。
➄葛苧(くずお)を細く裂き葛結びで、一本の糸につなぎ合わせていきます。この糸を箸に8の字を描くように巻きとったものを「葛つぐり」と呼びます。葛結びとは、結んだあとの切れ端が同じ方向を向くという特徴のある結び方です。
➅経糸には絹や麻や木綿を用い、さらに「糸に撚りのかからない平織り」で織られることにより、自然な光沢を持つ糸の質感がそのまま活かされます。杼(ひ)は底のあるボート型の葛布専用の物を使用します。「杼」とは、織機で緯糸を通すための道具のことです。この杼に水につけ固く絞ったつぐりをいれて機にかけます。葛糸は繊細で激しい操作を嫌うため、動力機を用いず、古くから手機で織られてきました。織り上がった布は機から外し、「しけとり」と呼ばれる余分な糸を取り除く作業を行います。その後、砧打ちを施して布に練りと照りを与え、仕上げます。
ひとつとして同じもののない葛布。その布を織り上げるには、悠久の時を超えて培われた先人の理知と、いかなる機械にも置き換えることのできない繊細な手仕事が必要不可欠です。そうして生み出された布は、ひとつひとつがまるで、生命を宿すかのように表情豊かであり、コーディネートに揺るぎない高雅な気品を添えてくれます。まさに職人の魂と美意識が息づく自然布は、現代においても確固たる価値を誇る至高の織物といえるでしょう。
奥深い魅力をたたえる自然布の数々を一堂に展示いたします。
見て、触れて、纏って——五感でお楽しみいただける特別なひとときをお届けいたします。
皆さまのご来場を心よりお待ち申し上げます。